海外FXをするなら絶対に覚えておかなければいけないのが、含み益・含み損です。
その時に保有しているポジションに利益が出ているのか・損失が出ているのかを表す意味がある言葉で、他にも評価益や評価損と言われることもあります。
含み益・含み損と大きな関わりがあるのが利益確定と損切りです。
今回は海外FXの取引において含み益・含み損がある時の利益確定・損切のタイミングや課税のシステムについてまとめてみました。
含み益・含み損とは?
最初にお話しした通り含み益・含み損は現在の損益を示す言葉であり、はっきりと確定しているものではありません。
- 含み益→保有しているポジションに利益が含まれている状態
- 含み損→保有しているポジションに損失が含まれている状態
その時点での利益のことを含み益・損失のことを含み損と言うので、利益確定や損切りをするまでは金額の確定はしません。
今含み益があってもこの先利益が出たままとは限らないし、今含み損があってもこの先損が出たままとは限らないということです。
例:ドル/円を100円で1万通貨の買いポジションを保有
買った時のレートが100円なので今のレートが高くなっていれば含み益、低くなっていれば含み損ということになります。
含み益 | 含み損 |
現在のレートが101円以上である場合 | 現在のレートが99円以下である場合 |
逆パターンで売りポジションを保有していた時は、
- 売ったレートより現在のレートが低ければ含み益
- 売ったレートより現在のレートが高ければ含み損
ということになるのです。今回は金額で含み益と含み損を説明しましたが、トレーダーによっては値幅で表現している人もいます。
保有しているポジションの大きさによっては、含み益・含み損の金額がガラっと変わってくるからです。
例えば50pipsの含み益があるポジションを保有しているとします。
- 1万通貨保有している人の含み益=5,000円
- 10万通貨保有している人の含み益=50,000円
この場合金額で表現しても値幅が全く分かりません。最初から値幅で含み益を表現した方が分かりやすいのです。
海外FXで多い含み益・含み損での失敗
取引をしている時に含み益が出ている・含み損が出ていると分かっていてもやってしまいがちな失敗があります。
- 含み益がより大きくなると思い利益確定をせず含み損になってしまった
- 含み損が含み益になるだろうと思い損切りをせずに損失が拡大した
より大きな利益を得ようと利益確定を先延ばしにしたがために損失になってしまう人や、損失が出ている状態でもレートが高くなり利益になるだろうと損切りをせず様子を見ていたら損失が拡大してしまったという人は珍しくはないんです。
これは損失回避バイアスといって、無意識のうちに利益の確保や損失の回避を優先している人間の特徴が関係しています。
もしこんな条件を提示されたとしたら、あなたならどちらの回答を選びますか?
A:条件なしで50万円プレゼント
B:じゃんけんで勝てば30万円、負ければ0円【損失】
A:条件なしで借入金をなかったことに
B:じゃんけんで勝てば借入金を0円に、負ければ現状維持
ほとんどの人はAの回答を選んだと思います。Aの方が自分にとって条件がいいからです。これが損失回避バイアスです。
海外FXにおいても同じで利益確定は早くなり、損切は遅くなる傾向があります。
含み益をムダにしないためには?
含み益が出たからとより大きな利益を追求してしまうと、含み損になってしまうことがあります。
欲に負けて含み益をムダにしてしまわないためには、分割決済がおすすめです。
分割決済とは?
分割決済とはその名の通りある程度の含み益が出たら一部を利益確定して決済することです。
- 1万通貨を保有
- 5000円分を利益確定する
そうすると利益確定して決済しなかった5000円分の利益をさらに伸ばすことができて、レートが下がった時の損失も抑えることができます。
もちろんある程度の含み益が出た時点で一部を利益確定しているので、より大きな利益が出た時の利益は減ってしまいます。
それでも含み益が出た時点で効率よく利益確定ができる手法になっています。
含み損を拡大しないためには?
含み損を拡大しないためには「損切りをする」のが1番の方法です。
もしかしたら含み益になるかもしれない!と思っていても、どんどん含み損が拡大するリスクがあります。
一旦下落してしまったら下落前の水準に戻るには
- 50%程度の下落で100%
- 30%程度の下落で42%
- 20%程度の下落で25%
再び上昇する必要があるため、確率的には低くなってしまうのです。
含み損がどんどん拡大してしまう前に、感情的にならずに冷静に損切りをすることが最も有効なリスク回避になります。
ナンピンはリスク大!
含み損が手っ取り早く解消できる禁断の方法としてナンピンがありますが、大きなリスクがある高度な技なのでおすすめはできません。
- 含み損が莫大な金額に拡大するリスクが高い
- 強制ロスカットのリスクがある
- 円相場を予想するのが難しい
含み損を損切りをせずに回収し含み益にもっていくことができる可能性があるのがナンピンですが、莫大な損失が出るリスクも併せ持っています。
例えば1ドル100円で通貨を購入したけど99円に下落し、含み損が出てしまったとします。
99円に下落 | 98円に下落 | 97円に下落 |
新規ポジションを買い増し | 新規ポジションを買い増し | 新規ポジションを買い増し |
このように含み損が出ている状態でも新規ポジションを買い増しすることをナンピンと言います。
含み損が回収できた後は、最初のポジションと買い増ししたポジションを合わせてすべてのポジションで含み益が増えていくことになります。
例では3回買い増しをしたので含み損が含み益になった時は、最初の4倍の利益になる計算です。
分かりやすいようにナンピンをした時としていない時の含み益の差を見てみましょう!
- 1ドル100円で100Lot購入
- 価格が下落
- 105円に回復した時に利益確定
※上の3つを条件とします。
- 保有ポジション:100円×100Lot・95円×100Lot
- 平均購入単価:97.5円
- 105円-97.5円=7.5円
105円で利益確定:7.5円×200Lot=1,500万円
- 保有ポジション:100円×100Lot
- 平均購入単価100円
- 105円-100円=5円
105円で利益確定:5円×100Lot=500万円
ナンピンという手法を使っていれば大きな利益が出るので、含み損が出た時は損切りよりもナンピンの方がいい!と思い込みがちです。
でも逆に含み損が含み益に変わらず、含み損のままだった場合を見てください。
- 保有ポジション:100円×100Lot・95円×100Lot
- 平均購入単価:97.5円
- 90円-97.5円=-7.5円
90円で損失確定:-7.5円×200Lot=-1,500万円
- 保有ポジション:100円×100Lot
- 平均購入単価100円
- 90円-100円=-10円
90円で損失確定:-10円×100Lot=1,000万円
ナンピン買いは買い増しをした分だけ含み損も増えていくので、損切りをした時の損失はしていない時よりも大きくなります。
さらにスワップポイントがマイナスになるポジションの場合は、1日ごとに発生するスワップポイントの損失も増やすことになってしまいます。
含み損があってこれから明らかにレートが反転することが予想できる時にナンピンを使うのはまだよくても、その他の場合は損失拡大のリスクがあまりにも大きいためおすすめはできません。
含み益の利食いや含み損の損切りのタイミングは?
FXでの利食い(利益確定)にはこんな相場格言があります。
含み益がいくら出ていても売らないと利益を得たことにはならない
まだ上がることもあれば、まだ上がると思っても今が最高のこともある
要するに含み益が出ていたらある程度のところで利食いをしなさい、値動きをよく見て利食いをしなさいという意味です。
せっかく含み益が出ている状態だからより高くなった時に売りたいと思うのは当然ですが、最高値は誰にも分かりません。
予測できないことを待っているよりも、頃合いを見て利益を確定させなければいけないのです。
反対に損切りにも相場格言があります。
含み損を抱えている時は何とも言えない焦りやショックがあります。
でも損切りをすることで大損をする事態を回避できるなら大きな価値があるという意味です。
少しの損失で済むうちに損切りをしておくべきだったと後悔してしまわないように生まれた格言です。
含み益の利益確定や含み損の損切りの目安となるタイミングはいくつかあります。
利食いのマイルールを作っておく
トレードをしている時に含み益が出ている状態だと期待が大きくなり、感情の影響を受けやすくなってしまいます。
利食いのタイミングを逃して、含み損にしてしまわないためにも最初に予めマイルールを作っておくのがおすすめです。
- 〇%上昇(下降)したら利食い(損切り)をする
- 急騰したら利食いをする
例えば20%上昇し含み益が出たら利食いをするというマイルールを決めたとします。
10,000円分購入したなら12,000円になったら売るということです。
最初の時点で12,000円で売ることは決まっているので、指値注文ができます。
こうすれば感情に流され利食いのタイミングを失うことなく、トレードをすることが可能です。
この時に逆指値注文で損切りの売り注文までいれておくのも有効です。
一般的に損切りラインを決める時は、利食いラインの1/3以下が目安になっています。
先ほどの例のように20%で利食いをすると決めた場合は、損切りの目安は5%~7%になります。
トレーリング・ストップを使い利食いをする
海外FXではトレーリング・ストップを使って利食いをする方法もあります。
トレーリング・ストップでは購入をする時に利食いラインをきめません。
決めるのは損切りラインのみで、相場が上昇していくのと一緒に損切りラインも上げていきます。
買値を上回った時点で利食いラインになります。
トレーリング・ストップの流れ
- 買い注文
- トレーリング・ストップを1円に設定
100円で買い注文を出したとするとロスカットラインは99円からスタートし、レートの動き1円ごとに一緒に上下していきます。
購入価格 | 100円 | 100.5円 | 101円 | 100円に下落 |
ロスカットライン | 99円 | 99.5円 | 100円 | 損切り |
101円の時にロスカットラインが100円になっているので、レートがロスカットラインにまで下落した時に何もしなくても自動的に損切りとなるのです。
含み損があってトレンドがどうなるか予想がつかない時や、安値または高値がどんどん更新されている時に重宝されます。
OCO注文の逆指値で損切りをする
海外FXのOCO注文は利益確定と損切りの同時注文ができるようになっています。
注文ができる組み合わせは全部で6パターンあります。
新規注文 | 決済注文 |
◇買い指値+売り指値 ◇買い指値+買い逆指値 ◇買い逆指値+売り逆指値 ◇売り指値+売り逆指値 | ◇買い指値+買い逆指値 ◇売り指値+売り逆指値 |
例えば1ドル110円の買いポジションを保有していたとして、こんなOCO注文を出します。
・1ドル115円になったら利益確定
・1ドル100円になったら損切り
為替変動により1ドル100円になると自動的に損切りとなり、115円の決済注文はキャンセルされます。
含み損があってもなかなか損切りのタイミングが掴めない人や利益確定のタイミングを見誤りがちな人にはOCO注文がぴったりです。
損切りにpipsや資金量でルールを作る
明確な基準はありませんがだいたいの目安があるので、損切のルールを作る時の参考にしてみてください。
トレードタイプ | トレード時間 | 損切りのpips |
デイトレード | 数分~1日 | 20~50pips |
スキャルピングトレード | 数十秒~数分 | ~10pips |
スイングトレード | 1日以上 | 50~200pips |
資金量で損切りのルールを決める時は海外FXだけじゃなく、投資の世界で勝ち組ならみんな知っている「2%ルール」がおすすめです。
1回のトレードで総資金の2%以内に最大リスクを抑える
というルールなので、リスクを固定しポジションの大きさを変えていくのでレバレッジが大きい海外FXにはぴったりです。
1回のトレードのリスクが2%以内になっていれば、レバレッジが大きくても問題はありません。資金管理が徹底できるのが2%ルールです。
海外FXの含み益・含み損の課税について
FXにおいて課税対象となっているのは決済損益なので、含み益とそのスワップポイントは課税の対象外です。
海外FXではできませんが国内FXでできる繰越控除をする時も、含み損は対象外となります。
- 決済をしないと課税の対象にならない
- 決済をしないと確定申告はできない
含み益や含み損のポジションがある時に課税や確定申告で気になることがある時は、必要に応じてポジションの決済をします。
含み益・含み損は冷静に対処する
海外FXで含み益や含み損が出た時のことについてご紹介しましたが、1番大切なのは
- 含み益がもっと大きくなるかも!とより大きな利益を追求し含み損となる
- 含み損は取り返せると感情的になり損失が拡大する
事態を避けることです。感情的なトレードでは失敗してしまう可能性が高いです。
取引の前に含み益・含み損がある時の自分のルールを決め、ギャンブルのようなトレードになってしまわないように注意しましょう。