- 海外FXの確定申告の対象者がわかる
- かんたんな確定申告方法がわかる
- 海外FXの節税方法がわかる
海外FX取引は儲かると、一定の税金が発生します。法律を遵守するためには、税制を理解することが不可欠です。
海外FXで得た利益に対して税金を支払わない場合、罰則や罰金、利息、さらには刑事罰の対象となることがあります。脱税は深刻であり、軽く考えてはいけません。納税者は、自国の税制による規則を理解し、海外FXの利益に対して支払うべき税金を、正しく支払う必要があります。これを怠ると、深刻な法的結果を招く可能性があり注意が必要です。
国内FX取引と海外FX取引の違い、税金の額、キャッシュバックのルールなどを理解することで、最も節税効果の高い方法で海外FX取引を行うことができます。これから、海外FXの確定申告をしようとお考えの方はぜひご参考ください。
海外FXの確定申告・税金のルール概要

まずは海外FXの確定申告で最初に理解しておくべきルールを解説します。
海外FXでも確定申告・納税する必要がある
海外FX取引は海外のサーバーを経由して日本国内で行われますが、所得税、住民税、証券取引税については国内FX取引と同じように国内の税制が適用されます。つまり、トレーダーとしては、利益・収益と発生した損失を国税庁に報告する必要があるのです。なお、海外FX取引で得た利益や損失は、給与や投資など、他の所得区分の税負担と相殺することができます。
また、すべての取引について正確な記録を残し損失があった場合も必ず報告する必要があります。これは、税務コンプライアンスと取引戦略を把握するために重要です。慎重に記録を取らないと、収入源や控除を証明できなくなる可能性があります。また、FX取引は他の投資と比較して、経費の種類が少なく、あまり高額な経費が発生しません。そのため発生した経費は唯一利益から控除できるものですから、証拠を残すようにしましょう。
外国為替市場は、会社員や専業主婦だけではなく、公務員にとってもより収入を増加させられる可能性があります。公務員は副業禁止のため働き方に大きな変化が生まれている現代でも、自分で収入を増やすことは難しいのが現状ですが、FXは資産運用の観点から副業に該当しないため、安心して確定申告を行なうことが出来ます。このように流動的な市場と高いリターンが期待できるFX取引は、多くの人にとって魅力的なものです。
では、海外FX取引をしている方が納めなければいけない税金はどの程度発生するのか、もう少し詳しく解説しましょう。
納税が必要な人はいくらから?

日本で外国為替にかかる税金は、国税庁と金融庁によって管理されています。外国為替取引にかかる税金には、取引で得た利益に対する所得税、5年超の取引にかかるキャピタルゲイン税、特定の通貨取引にかかるいわゆる「付加価値税」などがあります。
キャピタルゲイン課税とは、有価証券の譲渡による所得(=キャピタルゲイン)に対する課税のことです。このキャピタルゲイン課税は所得税、住民税の合算した額が適用されるのですが、2013年1月1日から2037年12月31日までの間、復興特別所得税が所得税に上乗せされるため、税率は合計で20.315%となります。
所得税 + 復興特別所得税:
15%+(15%×2.1%)=15.315%
住民税: 5%
税率: 15.315% + 5% = 20.315%
課税率は取引の種類によって異なり、利益に対する所得税は累進課税で、キャピタルゲイン税は低い一律税率で課税されます。付加価値税は、取引の種類によって、ゼロから10.21%までの幅が広いのが現状です。さらに、税額を軽減するために、さまざまな控除があります。
含み益・含み損は対象外
含み益や含み損は、控除の対象外であることに注意が必要です。つまり、損益が確定しているもののみが課税対象となります。これは、株式投資と同じで、株式投資の場合も利益でも損でも確定したものでなければ、計算の根拠とはなりません。これは、日本で外国為替証拠金取引を行う上で重要な概念となります。
キャッシュバックは課税対象
海外FX取引をすると取引量に応じて現金が還元される場合があります。これは「キャッシュバック」とも呼ばれ、他の所得と同様に課税の対象となります。一般的には、受け取ったキャッシュバックの総額から税金を差し引きますが、国によっては納税者に直接申告・納税を求める場合があります。納税者は、海外通貨で取引をしていても、実際の納税先となる日本の規制を確認しなければなりません。
日本ではキャッシュバックとして現金化した場合は課税対象となります。逆にキャッシュバックをボーナスに変えて取引に利用した場合は課税対象とはなりません。
青色申告(個人事業主)は対象外

現在の税制では、個人事業主で利益を上げているトレーダーは、FX取引活動に対する分離課税の対象とはなりません。確定申告では総合課税の対象です。これは、海外FXでも国内FXでも同じ扱いで「雑所得」として申告します。そのため、個人事業主の青色申告適用事業者であっても、FX取引は事業ではないため影響はありません。自営業者として申告する場合は、FX取引の損益を副収入(つまり雑所得)として毎年の確定申告に記載する必要があります。
いつまでに納税するのか?
日本では、所得税の申告期限は3月15日で、その時点で税金を納めなければなりません。振替納税で口座を登録し、引き落としを利用している場合の納税は1カ月先です。どちらの場合も、申告は3月15日までに完了し、納めるべき税金の全額を納めなければなりません。
海外FXの取引で利益が出た場合の申告先は、自分の住所地を管轄する税務署です。これを怠ると罰則の対象になります。国によっては、法律の仕組みや取引活動の仕組みによって、確定申告をせずにすむ場合もあります。しかし、条約をはじめとする法的な規制を理解していなければ間違ってしまうリスクが高いため、自己判断はせず専門家に相談するのが1番です。
海外FXと国内FXの課税方法の違い

海外FXと国内FXは、トレーダーにとっては両方とも日本で取引を行っているのですが、税金の課税の方法は異なります。海外FXは総合課税の対象であり、国内FXは累進課税の対象です。これは、海外のFX業者を利用していても同じであり、トレーダーの居住地が日本であれば、日本で申告と納税をする義務があります。また、課税される所得が決定する時点は、1年間の取引が確定し利益(損失)が確定するタイミングです。そのため理論上は、12月末までの取引が対象となり、その利益も確定申告の対象になります。
【課税方法】総合課税(所得税+住民税)

日本では、海外FX取引に対する課税の種類として、所得税と住民税の2種類があります。一般的に、所得税は海外FX取引で得た利益をもとに計算され、所得税が課されます。税率は、国内FXの場合は15.315%ですが、海外FXの場合は5%から45%まで段階的になっています。一方、住民税は、海外FX取引で実現したキャピタルゲインの額に応じて計算されます。この課税方法は日本に住んでいる人にのみ適用され、税率は10%で一律となり投資家が住んでいる自治体に納付することになります。
また海外FXは、損益通算と繰越ができないため分離課税のように、今年の赤字を来年に持ち越すということができません。
【税率】累進課税
海外FX取引の所得税率は、一般的に累進課税が適用されており、所得が増えるほど税率が高くなります。この点は、国内FXの分離課税と大きく異なるところです。つまり、利益が多いトレーダーほど高い税率で税金を計算し納税することになります。この制度は、取引利益がすべてのトレーダーに公平に配分されるように設計されています。
例えばオーストラリアでは、外国為替に係る課税は、実現した利益額に応じて一律10%または20%が課されます。このように、税法や税率は国によって異なるため、FX取引を行う前に必ず日本の税率を調べておくことが大切です。
以下の表は国税庁が平成27年分以後の税額として公表している税額表です。所得税はこの税率で決定し、その税額プラス住民税の10%分を加算したものが、納税額の合計になります。
課税される税金(所得税) | 税率 | 控除額 | 住民税率 | 控除額 |
1,000円 – 1,949,000円まで | 5% | 0円 | 10% | 0円 |
1,950,000円 – 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 | 10% | 0円 |
3,300,000円 – 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 | 10% | 0円 |
6,950,000円 – 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 | 10% | 0円 |
9,000,000円 – 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 | 10% | 0円 |
18,000,000円 – 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 | 10% | 0円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 7,496,000円 | 10% | 0円 |
100万円利益の税金計算シミュレーション
海外FXの取引を行う場合、利益や損失は課税の対象となります。この税金がどのように計算されるのか、シミュレーションを見てみましょう。
日本の場合、FX取引で発生した利益に対する税率は、前述した所得税率と住民税の10%です。

例えば、海外FX取引で100万円の利益が出た場合について計算してみます。
【所得税】
100万円 × 5% = 50,000円
【住民税】
100万円 × 10% = 100,000円
この合計15万円が納税額になります。
100万円の場合と異なるのは、所得税は決められた控除額を引くことです。また、この控除額は所得税だけであり、住民税にはありません。
300万円利益の税金計算シミュレーション

例えば、300万円利益があった場合の納税額はいくらになるのでしょうか。
【所得税】
300万円 × 10% - 97,500 = 202,500円
【住民税】
300万円 × 10% = 300,000円
合計502,500円が納税額となります。
また、実際に税金を計算する場合、会社員をはじめとする給与所得者は給与所得との兼ね合い、自営業者は事業所得で発生する所得との兼ね合いで、納税額は増加します。
ここで控除できているものは、もともと税額表で決定されている控除額のみです。そのため、海外FX取引をするために準備した口座開設費用や、そのほかにも経費があれば所得から控除できます。つまりこの計算からも分かるように、具体的な節税対策となると経費を控除することしかないのです。
海外FXの確定申告のやり方

海外FX取引の確定申告をする場合、所轄の税務署に利益を報告し必要な税金の支払いを申告する必要があります。これは、e-tax(e-tax口座をお持ちの方)または紙の申告書によって実施するのが通常です。また、領収書や損益の証拠となる書類、そして、取引履歴を確認できる書類も必要になります。
MT4・MT5から取引レポートをダウンロードする
海外FXの取引を行う際、トレーダーや投資家はMetaTrader(MT4とMT5)からステートメントを受け取ります。このステートメントには、ポジションのサイズ、エントリーおよびエグジットポイント、得られた利益または損失など、各取引に関するすべての詳細が含まれています。この明細書は、トレーダーや投資家が取引活動を記録するために使用され、また税務申告にも使用できます。ただし、トレーダーや投資家が税金に使用できるようにするには、MT4やMT5から取引報告書をダウンロードする必要があることに留意する必要があります。また、FX取引をしている年ごとに適切な報告書をダウンロードし、確定申告の際に簡単にアクセスできるように整理しておくことをおすすめします。
e-tax・ネットの場合
トレーダーは「e-tax」システムを通じて税金の申告と納税を行うことができます。このシステムにより、トレーダーはオンラインで迅速かつ容易に税金の申告と支払いを行うことが可能です。また、トレーダーが納税義務を遵守し続けることができるような機能がシステムに組み込まれています。e-taxは便利で効率的な納税方法であり、多くの国で利用することが可能です。e-Taxを利用した申告や納税は、一般的に簡単な手続きで行うことができます。納税者は、まずシステムに登録し、氏名や住所などの個人情報を提供する必要があります。登録が完了すると、納税者は自分の口座の詳細と納付すべき税金を確認できるようになっているのが特徴です。確認の後、申告と納税を実施します。
e-Taxは、納税者の課税所得を検出し、矛盾があれば関係する税務署に報告するように設計されています。これにより、すべての納税者が納税の義務を果たすことが簡単にできるようになりました。また、納税者から提供された情報をもとに、申告書を自動的に作成する機能も備えています。これは、納税者の時間と労力を節約する便利な機能です。
郵送の場合
海外FXの確定申告は、場合によっては必要書類を税務署に郵送して提出する必要があります。税務署が要求する情報をすべて記載し、書類を送付した日付は必ずメモしておくようにしましょう。また、控えに一緒に郵送し、そのとき返信用の切手を貼った封筒を同封すれば、受付印を押印した納税者控を返送してもらえます。これを受け取っておくことで、実際に申告したという証拠になります。
e-Taxを利用した電子申告は、メール詳細という税務署がデータを受信した証明がその場で印刷できますが、郵送の場合はタイムラグがあります。さらに控え部分を提出せずに自分で保管することもできてしまうため、できればe-Taxを活用するのがよいでしょう。
海外FXの節税方法

FXは、ネット通販事業などと違いあまり経費がかかりませんが、経費で落とせるものは複数あります。
経費にできる可能性のあるもの17選
- PC・スマホ・タブレットの本体代
- PC・スマホ・タブレットの月額料金
- Wi-fiなどの通信費
- レンタルサーバー利用料
- PC周辺機器(ガジェット)
- EA・取引ソフトの購入代
- 交際費
- FXの書籍・経済新聞
- セミナー代(交通費・宿泊費含む)
- 交際費
- 筆記用具などの消耗品
- PC机などの備品
- 家賃(一部)
- 固定資産税(一部)
- 光熱費(一部)
- 借金の利息
- 確定申告・税理士への依頼料
海外FXの税金・確定申告に関するよくある質問

最後に海外FXの税金・確定申告に関するよくある質問にお答えしていきます。
海外FXの利益を申告・納税しなかった場合どうなりますか。
給与所得者(正社員・公務員・アルバイトなど)が年間20万円以上、非給与所得者(自営業・フリーランス・農業など)が年間38万以上の雑所得を稼いだ場合は、確定申告する必要があります。
雑所得とはなんですか。FXの利益は雑所得ですか。
FXの利益は雑所得に該当します。雑所得とはFX、年金、原稿料、アフィリエイト、フリマアプリ(メルカリ・ラクマなど)などの利益のことを指します。
反対に「利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、譲渡所得、一時所得、山林所得、退職所得」は雑所得に該当しません。
FXの利益はふるさと納税の対象ですか。
はい、FXでの利益もふるさと納税の対象です。
いくらふるさと納税が対象になるのかはふるなびの計算シミュレーション機をご利用ください。
確定申告はスマホからできますか。
はい、スマートフォンからの手続きも可能です。
令和3年分確定申告(令和4年1月~)から、特定口座年間取引報告書(上場株式等の譲渡所得等・配当所得等)、上場株式等の譲渡損失額(前年繰越分)及び外国税額控除がスマホの画面の大きさに適したレイアウトで表示され、入力しやすくなります。
引用:国税庁からのお知らせ
確定申告の用紙はどちらからダウンロードできますか。
国税庁公式サイトからダウンロードすることが可能です。
FXの確定申告で必要な添付書類をおしえてください。
確定申告をする際には必要書類とはべつに2点の添付書類が必要となります。
- 年間取引報告書(取引ツールからダウンロード)
- 給与所得の源泉徴収票(給与所得がある場合)
この書類を用意することで必要書類への記入もラクになるので、必ずご用意ください。
確定申告を忘れてしまい期限が過ぎてしまいました。どうすればよいでしょうか。
確定申告の期限は通常、2022年分を2023年2月16日~3月15日までに提出しなければなりません。
期限が過ぎてしまった場合も受付自体はしているので、すみやかに提出してください。なお、期限である3月15日までに申告しなかった場合は「申告する意思がなかった」とみなされペナルティが課せられます。
具体的にいうと納税額が50万円以内なら+15%、50万円を超える部分には+20%の無申告加算税が追加されます。期限後に申告した場合でも、申告期限から「ひと月以内に(4月15日以内に)」「自主的に」行われた場合には無申告加算税は課せられません。
確定申告のやり方がまったくわかりません。
詳しくは確定申告の概要をご覧ください。
雑所得が20万円以内で確定申告対象外でした。住民税は支払わなくてもいいですか。
いいえ、住民税は確定申告対象外でも申告する義務があります。
FXで副収入を得ています。会社や職場にバレますか。
FXによる収入がある場合、住民税で会社にバレる可能性がありますが、FXの利益(雑所得)の住民税を普通徴収に切り替えて、自身で納税すればバレる心配はありません。
海外FXの税金・確定申告のまとめ

海外FXは、所得がある方で20万円、所得がない方で38万円以上稼いでいる方は必ず確定申告をする必要があります。無申告の場合、バレるとペナルティが課せられるので必ず2月16日から3月15日までに行いましょう。
海外FXの利益は雑所得に分類され、稼げば稼ぐほど所得税が上がる累進課税になります。事業とは認められないため個人事業主として、青色申告をすることはできません。節税対策をする場合は、経費計上をおこないましょう。経費は個人の主観となりやすくあまりに違和感のある計上になると税務署調査が入る可能性がありますのでお気をつけください。
2023年分(令和5年)の確定申告は2024年2月16日から3月15日までです。ギリギリになって慌てないように余裕をもってスケジュールを立てましょう。
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