cTraderはロンドンにある『Spotware System』という会社が2011年に開発した取引プラットフォームです。
開発されてから10年近く経っているものの、まだあまり認知されていませんが、その実力は非常に優秀で海外FX業者の間ではジワジワ浸透しつつあります。
そこで、今回はcTraderの基本スペックや、長所・短所、どんな人に向いているかをMetaTraderとも比較しながら解説していきます。
そして2021年現在cTraderが利用できる希少な海外FX業者も4つご紹介するのでそちらもぜひご参照ください。
cTraderとは
cTraderはロンドンにある『Spotware System』という会社が2011年に開発した取引プラットフォームです。
Spotware System【プラットフォーム】(外部リンク)
開発されてから10年近く経っているものの、まだあまり認知されていません。
しかし、その実力は非常に優秀で、特にECN方式を採用している口座専用のプラットフォームとして開発されました。
そのため海外FXでECN口座がある業者ではcTraderを使えるようにしているところもあります。
ECN取引でのパフォーマンスが優秀で「Finance Magnates 2018 Awards」と言われるFXのトレードプラットフォーム部門で最優秀賞を受賞した実績もあります。
cTraderの主な特徴
先ほど解説したとおり、cTraderはECN口座で使われることを想定して開発されています。
ECN口座とは、海外FX業者の口座タイプのひとつです。特徴は、取引手数料を負担することでとても狭いスプレッドで取引ができることです。
通常の口座よりも、取引コストが安くなるのでスキャルピングなど取引回数が多い方におすすめです。
その他にもスキャルピングをする方にとっては、注文やポジション変更の操作性、高い約定力などは重要なポイントになってきます。
さらに、保有ポジションが増えてきたときなどに、一括決済などの機能が必要になってきます。
そんな短期売買で欲しい機能が、cTraderには揃っています。
- 複数ポジションを一括決済できる
- 板(価格ごとの注文情報)を見ることができる
- 約定拒否がない
- 取引制限がない
上記のような機能があるので、スキャルピングのトレーダーの中で盛り上がってきています。
cTraderとMetaTraderの違い
冒頭でcTraderの特徴を簡単に解説していますが、次は取引プラットフォームシェアナンバーワンであるMetaTrader(MT4・MT5)と比較してどのような違いがあるか確認していきます。
MT5はMT4から裁量トレーダー用にアップデートされたプラットフォームで、基本的にはMT4と同様ですが、MT4・MT5の違いを詳しく知りたい方は別記事をご参照ください。
cTraderとMetaTraderの比較表
cTrader | MT4(MT5) | |
スプレッド | とても狭い | 標準〜広い (※業者による) |
約定力 | 高い | 標準 |
約定拒否 | なし | まれに起きる場合がある |
決済機能 | ワンクリック | 1ポジションのみワンクリック |
複数ポジを一括決済 | 可能 | デフォルトでは不可 |
インディケーター | 少ない | 豊富 |
自動売買 | 少ない | 豊富 |
操作性 | 分かりやすい | 慣れるまでは分かりにくい |
板情報 | 見れる | なし |
使用できるOS | Windows web iOS,Android | Windows web iOS,Android |
大きな違いとしては、上記のとおりです。
これを見ると、FX業者だけでなく取引プラットフォームも意外と重要なポイントであることが分かると思います。
cTraderはスプレッドがとても狭い
記事の前半部分で解説したとおり、cTraderはECN取引専用として開発されています。
ECN取引は、インターバンクの価格レートとスプレッドをそのまま利用しています。
手数料を払う代わりに、最小でスプレッド0,0pipsからと、狭いスプレッドで取引できるのです。
ECN口座を利用すると、通常の口座ではスプレッドが広い下記のような通貨ペアでも有利に取引できます。
- TRY(トルコリラ)
- MXN(メキシコペソ)
- SGD(シンガポールドル)
このようなマイナー通貨は、通常の口座だとスプレッドがとても広くなっています。
これはXMのスタンダード口座のマイナー通貨ペアです。かなり広いことが分かります。
ECN口座を利用することで、とても狭いスプレッドで取引できるので、エントリーした時点でかなり優位な状態にできます。
ECN口座の手数料は多くの業者で、1ロットあたり何ドルかが決められています。一部の業者では、通貨ペアごとに手数料が違うことがありますが、基本は一律になっています。
また、ECN口座の中でも、MT4しか使えない業者とcTraderも使える業者があります。同じECN口座でもMT4より、cTraderの方がスプレッドが狭い傾向にあります。
ECN口座を利用したいと思っている方は、cTraderが利用できる業者を検討してみてください。
cTraderは約定力が高く、約定拒否がない
先述したとおり、cTraderはインターバンクから直接取引しているので約定力が高く、約定拒否もありません。
一部の海外FX業者では、取引量が大きくなると約定タイミングが少し遅くなったりすることもありますが、そのような心配も不要です。
特にスキャルピングで大きな取引をする方にとって、1pipsの差でかなり損益が変わってきます。「ここで決済したい!」と思ったところで約定できるcTraderは、強い味方になってくれます。
複数ポジションを同時に一括決済できる
cTraderは、複数ポジションを同時に一括決済できます。
MT4はデフォルトでは一括決済の機能がありません。そのため外部から決済ツールを導入する必要があります。
また、MT4で一括決済するために外部ツールを使用していたとしても、万が一ツールが機能しなかった場合、大変なことになる可能性もあります。
その点、cTraderはデフォルトで一括決済機能があるので、安心感も段違いです。
cTraderはインディケーターや自動売買が少ない
cTraderは、使用しているユーザーが少ないので、世に出回っているインディケーターや自動売買が少ないというデメリットがあります。
自動売買については、MT4で使うシステムは使えません。プログラム言語が違うので、cTrader用にプログラムされたシステムが必要になります。
自作の自動売買システムを作る上でも、cTrader用の「C#」はMT4の「MQL4」より難易度が高いです。
今後は、徐々に使用できるインディケーターも自動売買システムも増えてくると思いますが、現状ではMT4より圧倒的に少ないと覚えておきましょう。
cTraderは板情報が見れる
特に株式投資をする方にとっては馴染み深いと思いますが、FXしか経験していない方は「板」が何か知らないという人もいると思います。
「板」は、価格レートごとの注文状況が表示されるものです。
cTraderでは、画像の右上部分ような板になっています。
この板情報は、このような情報を見ることができます。
- 価格ごとにどれくらいの注文が入っているか
- 市場の流動性と注文量
これらの情報は本来、個人投資家が見ることはできませんでしたが、cTraderでは搭載されています。
これはcTraderがインターバンクに直接アクセスできるからこその機能です。
インターバンク市場に参加しているヘッジファンドや金融機関などの大口の取引も、板情報を見ることで手がかりがつかめます。
大口の機関投資家は、個人投資家が損切りをするように仕掛けてくるなどと言われています。
これまでは値動きなどを頼りに、大口がどうやってくるかを予測しかできませんでしたが、板で確認できるので大きな強みです。
ただし、ここで表示されている板情報は、国内FXを含めたDD方式を採用している業者やSTP方式の口座を利用しているトレーダーの情報は反映されていません。
あくまでもECN口座を利用しているトレーダーの注文が反映されているだけなので、市場参加者の全てが反映されているわけではないことに注意です。
使用できるOS環境はMT4と同じ(Windows・Mac・スマートフォン可)
cTraderは、下記のバージョンがあります。
- Windows
- web
- iOS
- Android
WindowsのPCであればWindows版、Macの方はWeb版を利用することができます。
スマホでもiOS、Androidどちらにも対応しているので安心してください。
ただし、使用するFX業者によって違う場合がありますので必ず確認してください。
またMT4のWeb版は、操作性が悪い場合があります。
そこでcTraderのweb版を試してみました。使用した業者はAXIORYですが、操作性・反応速度などは問題ありませんでした。
これも業者によって違う可能性がありますが、もし現状では不具合があっても今後改善されていく可能性が高いです。
cTrader採用の業者4選
現在、日本人に認知されている海外FX業者で、cTraderを採用している業者は下記のとおりです。
- AXIORY
- TradeView
- FxPro
- ICMarkets
現状では、わずか4社しかありません。
また、全ての口座タイプで利用できるわけではなく、cTraderが利用可能な口座タイプを選択する必要があります。
取引プラットフォームによる取引条件の違いがある場合もあるので、各業者のcTraderを利用した場合の取引条件もセットで解説していきます。
①AXIORY
AXIROYではcTraderが利用できます。cTraderが利用できる4社のうち、日本人に最も人気があります。
最大レバレッジ | 400倍 |
ドル円の平均スプレッド | 0.3pips |
取引手数料(1ロットあたり) | 往復6ドル |
最小取引量 | 1,000通貨 |
ロスカット水準 | 20% |
初回最低入金額 | 2万円 |
上記はcTrader用の口座での取引条件です。
海外FXの中では珍しく信託保全制度を導入していて、全額返金保証なので安心性・信頼性がとても高いのが人気の理由の一つです。
AXIORYの公式サイトでcTraderに関する情報も分かりやすく記載されているので、初心者で合っても導入が簡単にできます。
スキャルピングを頻繁にする方で、cTraderを利用したいという場合はぜひAXIORYを検討してください。
②Tradeview
Tradeviewは上級者に人気の海外FX業者です。
cTrader用の口座は下記の取引環境になっています。
最大レバレッジ | 400倍 |
ドル円の平均スプレッド | 0.2pips |
取引手数料(1ロットあたり) | 往復5ドル |
最小取引量 | 1,000通貨 |
ロスカット水準 | 100% |
初回最低入金額 | 10万円 |
取引条件はAXIORYよりもさらに優秀ですが、最低入金額がハードルを高くしている点です。
Tradeviewも信託保全制度を導入しているので、資金が多い上級者でも安心して利用できます。
ボーナスがなく、最低入金額などもハードルが高いので日本での認知度は低いです。
通常の最大レバレッジは200倍ですが、口座資金を増やしてレバレッジを上げてほしいと申請することで、400倍にすることができます。
FX初心者向けではないので、資金が多い上級者が検討するべき業者です。
③FxPro
FsProのcTrader用の取引環境は下記の通りです。
最大レバレッジ | 500倍 |
ドル円の平均スプレッド | 0.4pips |
取引手数料(1ロットあたり) | 往復9ドル |
最小取引量 | 1,000通貨 |
ロスカット水準 | 30% |
初回最低入金額 | 5万円 |
FxProは複数の金融ライセンスを取得していますが、cTraderを利用できる業者の中では取引コストがやや高いです。
cTraderで取引するためにわざわざFxProを利用するメリットは、正直あまりありません。
④ICMarkets
ICMarketsのcTreader用の取引環境は下記の通りです。
最大レバレッジ | 500倍 |
ドル円の平均スプレッド | 0.3pips |
取引手数料(1ロットあたり) | 往復6ドル |
最小取引量 | 1,000通貨 |
ロスカット水準 | 80% |
初回最低入金額 | 2万円 |
ICMarketsは、AXIORYやTradeviewと同じような取引コストです。
最大レバレッジ500倍とECN口座として高いですが、ロスカット水準80%となっているので総合的に判断するとAXIROYなどの方が良いかもしれません。
公式サイトは日本語対応していないので自動翻訳の必要があります。
日本で使用している人はほとんど見かけませんが、オーストラリアではとても人気の高い業者です。
上記4社でもしcTraderを使うために利用する場合は、AXIORYかTradeviewを検討しましょう。この2社は評判も良く、取引条件も優秀なのでcTraderをより有効的に活用できます。
cTraderはこんな人におすすめ
本記事で説明しているとおり、cTraderはECN口座専門の取引プラットフォームです。
ECN口座はスプレッドが狭く、約定力が高い、一括決済機能などがあるのでスキャルピングなどの高速取引をする方におすすめです。
また、スキャルピング以外でも下記のような方にはcTraderを検討してみても良いと思います。
- 経済指標の急変動を狙った取引をする方
- 板情報を見たい方
cTraderを試したい場合
業者によっては、Web版のcTraderがありcTraderのデモ口座を試してみるのもおすすめです。
AXIORYでは、cTradr用のデモ口座を簡単に作ることができます。デモ口座としてcTraderを利用しながら、板情報を参考にするという使い方もあります。
ただ当サイト運営者の見解としてはあまりデモ口座は推奨していませんので、デモ口座を検討している方は下記記事を読んで検討してみてはいかがでしょうか。
cTraderを利用する注意点
またcTraderに限らず他の取引プラットフォームにも言えることですが、以下の取引をすると規約違反となる可能性もあるので確認しておきましょう。
利用をおすすめしない人
経済指標の急変動を狙った取引については、業者によって禁止またはグレーな場合があります。(俗に言うアービトラージです)
また、以下のような方は、現状ではcTraderを利用しない方が良い可能性があります。
- 沢山のインディケーターを利用する方
- 自動売買を導入して取引する方
- スイングトレーダー
MT4との比較でも説明したように、cTraderはまだユーザーが少ないのでMT4に比べてインディケーターや自動売買システムが多くありません。
既にMT4を愛用しているトレーダーには、不便に感じる可能性があります。
また、スイングトレードのように取引回数を絞って取引するトレーダーは、わざわざcTraderを利用するメリットはほとんどないのが現状です。現状のMT4で十分という方は、そのままで大丈夫です。
取引プラットフォーム「cTrader」のまとめ
今回は、cTraderという高速取引に特化したプラットフォームについて解説しました。cTraderのメリットを再掲します。
- スプレッドがとても狭い
- 約定力が高く、約定拒否がない
- 複数ポジションを同時に一括決済できる
- 板情報が見れる
上記のとおり、cTraderを利用する価値は十分にあると思います。
しかし、インディケーターと自動売買システムが少なくて不便な可能性もあります。
スイングトレーダーが利用するメリットは少ないですが、スキャルピングをするトレーダーには最高の取引プラットフォームになる可能性が高いです。