- フラッシュクラッシュはいつでも起こりうる
- 過去の事例から前兆を読み取る
- フラッシュクラッシュの対処法は6つ
いきなりですが「フラッシュクラッシュ」という言葉をご存知でしょうか。
フラッシュクラッシュとはなんの前触れもなく、突然相場が大きく変動することを意味します。しかしフラッシュクラッシュが発生する原因やメカニズムについては不明な点が多く、未だに解明されていません。
そこで今回は現段階で分かっている、フラッシュクラッシュが起こる原因と前兆、対処法について解説していきます。
フラッシュクラッシュとは
改めてフラッシュクラッシュについての概要を見ていきましょう。
フラッシュクラッシュの意味
フラッシュクラッシュとはなんの前触れもなく、相場が大きく変動する現象のことを指します。数秒・数分の間に相場が大きく下落するため損切りが間に合わず、強制ロスカットにあうことも少なくありません。
フラッシュ クラッシュとは、証券価格が非常に短期間で大幅に急激に下落し、その後急速に回復することです。[1]【中略】その速度と相互接続性により、数分と数秒で数十億ドルの損失と回復がもたらされる可能性がありますが、実際には、ほとんどすべての参加者が流動性を引き出し、リスクの突然の増加に直面して一時的に取引を一時停止したために発生します。
引用:フラッシュクラッシュ|Wikipedia
フラッシュクラッシュが起こる原因(メカニズム)
フラッシュクラッシュが起こる原因は詳しく解明されていませんが、今現在はヘッジファンドなどの間で導入が進む超高速取引(HFT)が、他のトレーダーによる大口の売り注文などに反応して自動的に対象の売りをだすことが下げ幅拡大いわゆるフラッシュクラッシュの原因だと考えられています。
その結果、予め設定されていたロスカット注文が大量に発動し、強制ロスカットのうちも加わって売りが売りを呼ぶ値動きに発展するのです。またこの流れが一巡すると急速に値を戻す働きがあります。
フラッシュクラッシュの前兆はない
基本的にフラッシュ・クラッシュの前兆はなく、突然おこるものとされています。というのも、フラッシュクラッシュはヘッジファンドの偶発的なミスから発生するケースとヘッジファンドが意図的に発生させるケースがあるからです。
ここでいう意図的なものとはヘッジファンドが個人投資家のロスカットを目的としたいわゆる「ストップ狩り」や、円安の加速などを防ぐ為替介入が挙げられます。反対に偶発的なものとは、ヘッジファンドが注文数や取引金額を誤って売買してしまい起こるものが挙げられます。
このように、いくら個人投資家がヘッジファンドの心理を読もうと思っても対処できないフラッシュクラッシュもあるのです。
フラッシュクラッシュが起こりやすい時期と時間帯
起こりやすい時期は年末年始やGW(ゴールデンウィーク)など市場に参加するトレーダーが少なく、流動性が低い時間帯に発生しやすいと言われています。
またその時期の中でも、早朝はさらに流動性が低下するためフラッシュクラッシュが起こりやすいと言われています。というのも流動性が薄商いの中で大量の売り注文が殺到すると、アルゴリズムによる高速取引システムが発動し、ロスカットが連鎖的に発生して一気に急落してしまうからです。
フラッシュクラッシュの過去の事例(為替・株)
フラッシュクラッシュは最近だと2022年に円安の加速を抑えるため日銀の介入でドル円が大きく変動したのは記憶に新しいのではないでしょうか。
そこでそのほかにも過去にあった記録的なフラッシュクラッシュの事例と要因について一部ご紹介します。
2019年1月3日早朝のドル円相場|1ドル108円→103円へ急落
詳細 | |
発生日 | 2019年1月3日早朝(日本時間) |
銘柄 | USDJPY |
値幅 | 約5円 |
2019年1月3日のフラッシュクラッシュの要点
- 1月2日に米アップル社が売上高見通しを下方修正したため
- 1月3日は日本の金融機関が休みだったため
- 正月で市場参加者が極端に少なかったため
- EAが売買注文を出すアルゴリズム取引が相場をさらに加速
続いて2019年1月3日に起こったドル円相場のフラッシュクラッシュです。NYタイムが終了し、市場の流動性が低下したタイミングで突如発動しました。
実はこのフラッシュクラッシュが起こる前日2日に、米アップル社が発表した年末商戦期を含む10~12月期の売上高見通しを下方修正したことがきっかけと考えられています。また年始(正月)はもともと市場参加者が減る時期でもあるため、さらに拍車がかかったものと考えられます。
そのときの動画チャートを公開されている方がいらっしゃったので気になるかたはご覧ください(音声はありません)▼
2016年10月7日のポンドドル相場|1ポンド$1.26→$1.14へ急落
詳細 | |
発生日 | 2016年10月7日(日本時間朝8時頃) |
銘柄 | GBPUSD |
値幅 | 約12セント |
2016年10月7日のフラッシュクラッシュの要点
- 当時ポンドはEUとの離脱交渉を巡り下落傾向にあった
- 数分間で約6%も下落し31年ぶりの安値を更新
- 数時間で1.24ドルまで回復した
- 正確な原因は特定されていないが日本人が原因とのウワサあり
最後に2016年に起きたイギリスポンド・米ドルのフラッシュクラッシュをご紹介します。数分で1ポンド1.26ドルから1.14ドルまで急落し6%という驚異的な下落率を記録しましたが、数時間で1.24ドルまで回復し注目を集めました。
もちろんこのフラッシュクラッシュはポンド円にも影響を与え、2分間で1ポンド131円から124円にまで急落し、その後1.4%安値で終了しました。
2010年5月6日ダウ平均株価
詳細 | |
発生日 | 2010年5月6日 |
銘柄 | NYダウ |
値幅 | 当時約1,000ドル(9%の下落) |
2010年5月6日のフラッシュクラッシュの要点
- わずか数分で現在価格1兆ドルもの市場資産が失われた
- ドル円や6円もの影響を与えた
- HFTが買い始めたため暴落は10分程度で終わった
- 要因は不明だが意図的な相場操作をしたとして逮捕者が出た
フラッシュクラッシュという言葉が生まれるきっかけとされる2010年5月6日のダウ平均株価の下落をご存知でしょうか。いまのNYダウに換算すると約1兆ドルもの市場資産が失われたとされており、歴史に残るフラッシュクラッシュとなりました。
為替相場にも大きな影響を与えましたが、NFTが下がったNYダウを買い始め10分程度で戻りました。
そのときの衝撃的な動画チャートを公開されている方がいらっしゃったので気になるかたはご覧ください(音声があります)▼
フラッシュクラッシュの対処法6選
フラッシュクラッシュに巻き込まれないため、また巻き込まれたとしても損失を少なくする方法を6つご紹介します。
- ポジションを持ち越さない
- 分散投資でリスク回避
- ポジション縮小で少額取引
- 海外FX業者でゼロカットしてもらう
- 両建て取引をする
- チャート分析の徹底
対処法1. ポジションを持ち越さない
フラッシュクラッシュは年末年始やゴールデンウィークといった市場の流動性が下がりやすい時期に起こる確率が高まります。そのため、これらの期間は避けるのが良いでしょう。
とくに年末年始は取引時間も変則的です。いつもより早く閉場してポジションを持ち越してしまったとならないためにも、年末の取引時間はあらかじめ控えておきましょう。
対処法2. 分散投資でリスク回避
フラッシュクラッシュでの対象や致命的な資金の減少を防ぐために、複数の口座に資金を分散させリスクヘッジをしておくことをおすすめします。
これはフラッシュクラッシュに限らず、トルコリラなどの新興国通貨やビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)といったボラティリティが高い銘柄を取引するときにも有効な手段です。
対処法3. ポジション縮小で少額取引
対処法2と関連しますが、1つの銘柄に高額資金をつぎ込むのはフラッシュクラッシュに見舞われたとき退場する可能性が高まります。1つの銘柄をとことん分析するのも悪くはありませんが、いつ急変するかはだれにもわからないためなるべく避けましょう。
対処法4. 海外FX業者でゼロカットしてもらう
フラッシュクラッシュが起きた場合、ロスカットラインがあっても対応に間に合わず大きな損失を出してしまうことも珍しくありません。海外FXでは大きな損失(追証)もゼロカットシステムで0にしてくれるため、追証を払う義務がなくなります。
ただし海外FX業者の中には、ゼロカットシステムを執行してくれない悪質な業者もあります。悪質な業者に騙されないためにもゼロカットを執行してくれる安全な海外FX業者を利用しましょう。
対処法5. 両建て取引をする
両建て取引もフラッシュクラッシュには有効です。両建ては基本的に為替リスクがほぼないからです。
しかし、為替の急落により買建だけロスカットされ損失が確定するケースもあります。また両建てするには証拠金が2倍必要になるのに加えて、大きなスプレッドの拡大に耐えられる余裕をもった証拠金も必要です。両建てしているから安心ではありませんので、証拠金維持率には気をつけて両建てしましょう。
対処法6. チャート分析の徹底
最後に基本中の基本ですが、チャート分析を怠らないようにしましょう。プロのトレーダーは必ず市場の流れやチャートの動きの分析を徹底しています。普段から自分なりに「このニュースが出たら為替はどう動くか」と考察力を磨くことで、投資家の心理状態をある程度読むことも難しくありません。
感情的にならないように、損切りルールなどを決めることも重要です。フラッシュクラッシュが起きて一発退場にならないためにも日頃から分析と機械的トレードを徹底して利益をコツコツ積み上げておきましょう。
フラッシュクラッシュに関するよくある質問
最後にフラッシュクラッシュに関するよくある質問や疑問にお答えしていきます。
フラッシュクラッシュはいつ起こりますか。
フラッシュクラッシュが起こりやすいと言われているのは年末年始・ゴールデンウィークといった長期休暇の時期といわれています。また、窓開けや日本時間早朝など市場の流動性が下がる時間帯はフラッシュクラッシュがより起こりやすくなると考えられています。
フラッシュクラッシュを起こす犯人がいると聞いたのですが本当ですか。
必ず犯人がいるとは限りませんが、過去にフラッシュクラッシュを誘発したとして、有罪判決を受けた事例があります。
両建てしていたらフラッシュクラッシュも安全ですか。
両建てしていてもフラッシュクラッシュが安全とは限りません。
というのも相場の急落でロングポジションのみロスカットされ損失が確定したり、スプレッドの拡大で証拠金維持率が強制ロスカットのラインに達してしまう可能性もあるからです。両建てしているときも証拠金に余裕をもっておきましょう。
フラッシュクラッシュで大儲けすることは可能ですか。
はい。フラッシュクラッシュが起こるのは損でしかないと思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし視点を変えれば、莫大な不利益を被った人々がいる一方で、爆弾な利益を得る人々もいるというのが相場のルールです。誰かが負ければ誰かが勝つのであり、勝つ側に回るためには日頃からの市場分析が重要になります。
フラッシュクラッシュについて|まとめ
フラッシュクラッシュは未だに正確な原因が解明されておらず、目立った前兆もないため日頃からリスク回避するしかありません。
表に出ていないだけで過去にフラッシュクラッシュが原因で退場した方は数多くいらっしゃいます。
数年前の正月明けフラッシュクラッシュで退場者続出しましたから年越しポジやEAはやめたほうが良きですよ~両建てでも死にます
ポンドやばいな フラッシュクラッシュ予想してたけどその通りになりそうやん 退場者凄まじいんだろうな 上がる時はじわじわ 下がる時は一瞬やな
大きな被害に遭わないためにも「証拠金に余裕をもった両建てをする」「ゼロカットしてくれる海外FX業者を利用する」などで対策しておきましょう。
当サイトでは、ゼロカットシステムありの安心安全おすすめ海外FX業者を100社から10社に厳選して紹介しています。
フラッシュクラッシュの対策を検討しているかたはぜひ口座選びの参考にしてください。